佐野海舟のプレーには驚くばかりです。
米子北高校から卒業後の2019年にJ2のFC町田ゼルビアに入団し4年を過ごします。
ルーキーイヤーからレギュラーを掴むと、2022年は1試合平均インターセプトが0.7でリーグ1位、1試合平均タックル数が3.1でリーグ3位と無双状態でした。
J2の若手守備的ボランチの有望株でありスペシャリストとして有名になります。
そして今季J2からJ1へ個人昇格をしてきました。
複数クラブの争奪戦だったようですが、その選手を鹿島アントラーズが射止めています。
すると初のJ1でのプレーにもかかわらず存在感は試合ごとに増しています。
既にアンカーとしてポジションを確立しました。
Jリーグの公式データによると1試合平均インターセプトは1.7でリーグ1位の成績です。
ただ1試合平均タックル数は2.3であり、これはリーグ52位でした。
つまりタックルではなくデュエルの強さや読みの素早さで奪い切る力があります。
身長176cm、体重67kgとそれほどサイズがあるわけではありませんがとにかくボールの奪い方が上手いです。
しかもここまでリーグ戦に3試合出場し259分プレーしていますがファウルを1回しかしていません。
もちろん警告は1枚もなくこのポジションで文句の付けようのないパフォーマンスを見せてくれています。
そしてアンカーという守備が専門でありながら攻撃にも絡んできます。
佐野の良さはまさにここにあります。
普通守備の選手はボールを奪ったら近くの味方にパスを出して役目を終えがちです。
しかし佐野はパス以外にドリブルという選択肢を持っています。
自陣深い位置でボールを奪取しても簡単にパスを出さず自身で運ぶことができます。
自陣のペナルティエリアから相手側のペナルティエリアまでの広範囲をプレーエリアとし、豊富な運動量で攻守に貢献する選手です。
主に英語圏であるイングランドなどではボックストゥボックスと呼びますが、現代サッカーにおいては欠かせない能力の一つとなっています。
スタミナや状況判断力と多くのことを求められますが早くも持ち合わせているのです。
特に第3節横浜FC戦では2つの特徴的なプレーがありました。
1つは50分に自陣でボールを奪うとドリブル独走します。
鈴木優磨とのパス交換でスピードを上げると右サイド深くまで侵入しクロスを上げました。
もう1つは69分です。
敵陣で素早いパスカットをすると一気にゴール前まで走り出します。
ここに樋口雄太からスルーパスを受けると右足で相手DFを交わすと左足でシュートを打ちました。
シュートは惜しくもバーの上でしたが今後もこのようなプレーが増えればゴールも取りそうです。
その後足がつって途中交代となりましたがサポーターを魅了した試合でした。
もう今の鹿島にとって攻守で欠かせない選手になっています。
三竿健斗の後継者として獲得したと思いますが早くも穴を埋めてくれました。
そしてDAZNのYouTubeチャンネルでもプレー集が作成されています。
どのプレーも見入ってしまいます。
これまで鹿島からは多くの選手が海外移籍をしてきました。
柳沢敦や小笠原満男など日本代表選手から始まり、若手の安部裕葵や鈴木優磨と海を渡っています。
この活躍を続ければ欧州5大リーグは難しいとしても、ヨーロッパの中堅国からは今夏にオファーがあっても不思議ではありません。
また佐野の最新の市場価値は75万ユーロ(約1億800万円)とそれほど高くありません。
上田綺世や三竿健斗のようにベルギーやポルトガルへ羽ばたく日も近いのでしょうか。
サポーターとしては特に若手は活躍すればするほど海外に引き抜かれもどかしい気持ちになります。
しかし選手の活躍を願わずにはいられません。
今は鹿島でタイトル獲得に向けて、J1屈指のボールハンターとしてプレーしてもらいたいです。

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