サッカーではボランチがある意味一番地味かもしれません。
サッカーはゴールを決めるスポーツのためFWは必然的に目立ちます。
MFはゴールをアシストすれば目立ちますし、DFはいいクリアをすれば目立ちます。
またGKもファインセーブで観客を魅了することがあります。
主にボランチは中盤での守備が仕事になるため目立つというポジションではありません。
しかし最も欠かせない重要な役目であります。
ボランチとはポルトガル語で車のハンドルを意味します。
中盤の底でチームの運転を担う重要な役割を担っているのです。
よく優勝クラブには必ず代表クラスの素晴らしいボランチがいると言われます。
そして今年その名が全国区になるであろう選手がいます。
その選手は三竿健斗です。
身長181cmの長身と体の強さを生かし高さと球際で勝負できるパワフルな守備が特長の大型ボランチです。
2020年は1試合平均タックル数が3.8回とJ1リーグ第1位を記録しています。
守備力が高いため1人で広大なスペースを埋めることができてしまいます。
その激しい守備から攻撃に繋げるパスを供給するのが特徴的で、正確な縦パスから攻撃の起点になるプレーが多く見られます。
三竿は2016年に東京ヴェルディから移籍してきました。
守備の強さがピックアップされがちですが足元の技術も確かで、簡単にボールを奪われないテクニックはさすがヴェルディ出身です。
今年が6年目になりますが鹿島アントラーズユース出身なのかと思うくらい鹿島のサッカーを体現しています。
年々進化しているところがすごいです。
今回はそんな三竿健斗について紹介させてください。
誕生日は1996年4月16日で今年25歳になります。
一番サッカー選手として脂が乗ったいい時期ですね。
0歳から5歳までの幼少期をカナダのトロントで過ごしているため英語が堪能なようです。
そして帰国後東京ヴェルディJrユース、東京ヴェルディユースそして2015年にトップ昇格と順調に育ちます。
高卒ルーキーにもかからわずJ2とは言え開幕戦からスタメン出場しリーグ戦39試合に出場と完全にレギュラーになります。
私は当時じっくりとプレーを見たことはありませんでしたがデータを見る限り数年後にはJ1クラブに行く選手だと思いました。
それがたった1年で鹿島アントラーズに移籍をすることになります。
何の前触れもなく2016年1月12日の新体制発表時に名前があったのでかなりびっくりしました。
後から知りましたがオファーを出したのが1月3日だったようで急転直下で移籍が決定したようです。
強化部はかなり三竿を買っており「ずっとリストにはあった。一年後、値段が上がる前に、争奪戦になる前に獲得したかった。」と話していました。
この年のボランチは小笠原満男、柴崎岳がおりさらに同年には湘南ベルマーレのキャプテンであった永木亮太も加入するというJ屈指の層の厚さでした。
そこに20歳の若者が飛び込んでくる勇気はすごいと思います。
2月28日のガンバ大阪との開幕戦で93分に途中出場しあっさりアントラーズデビューを果たします。
しかし移籍初年度は結局4試合にしか出場できず苦しい1年となりました。
翌年もなかなか出番はやってきません。
そして2017年5月31日転機が訪れます。
ACLのラウンド16での敗退を受けて石井正忠監督を解任し、コーチであった大岩剛を監督に昇格させたのです。
すると大岩新監督の初戦となった6月4日第14節サンフレッチェ広島戦でスタメンに抜擢されます。
その試合で持ち前の守備力を発揮し勝利に貢献するとそこからレギュラーポジションを掴みました。
2017年はさらにブレイクし年末のE-1サッカー選手権で日本代表に選出されます。
そして12月16日の韓国戦で国際Aマッチ初出場をしています。
また2018年もロシアW杯の26人のメンバーリストに入ります。
W杯メンバー発表直前の3月26日に行われたマリ代表戦では中島翔哉の得点をアシストし代表初アシストを記録しています。
中島も代表初ゴールであり同じ東京ヴェルディユースの先輩、後輩が代表初ゴール、初アシストの相手となったことから感慨深いものがあったようです。
試合後のインタビューでもお互いのことに触れていました。
しかし最後の最後で23人からは落選しW杯目前での代表落選となってしまいます。
この悔しさは本人にしかわからないでしょう。
そのため2022年のカタールW杯は絶対に出場するために代表復帰は狙っているはずです。
現在A代表のメンバーはほぼ海外組です。
今後もその傾向はどんどん強くなることが考えられます。
最近では20代半ばの日本代表のボランチも続々と海外移籍をしています。
遠藤航は25歳で浦和レッズからベルギー1部のシント=トロイデンVVに移籍しました。
橋本拳人は26歳でFC東京からロシア1部のFCロストフへ、守田英正は25歳で川崎フロンターレからポルトガル1部のCDサンタ・クララに羽ばたいています。
三竿は帰国子女のため元々海外志向が強い選手として知られています。
2016年の鹿島移籍時も2、3年後には海外移籍できるようなキャリアを歩みたいと発言しておりもうその時期は過ぎています。
今年のオフには海外移籍をするのではないかと噂になっておりラストシーズンになる可能性は高いです。
そのため三竿の一つ一つのプレーを目に焼き付けておきたいです。
2017年12月2日ヤマハスタジアムで行われた第34節ジュビロ磐田戦で優勝に王手がかかっていながらスコアレスドローに終わり優勝を逃しました。
試合後の三竿健斗の号泣は今だに忘れられません。
翌年の2018年にACLは制覇しましたがサポーターの中にはまだ時計の針が止まったままの方も少なくはないのでしょうか。
そしてその時初優勝した川崎フロンターレは黄金時代を築き始めます。
やはり2017年は優勝しなければいけなかった年でした。
私自身モヤモヤした気持ちのまま3年が過ぎました。
今年こそリーグ奪還をし2017年を笑って振り返られるようにしたいです。
そして三竿の満面の笑みを見られたら言うことはありません。
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