昨年2020年はJリーグ全体で大卒ルーキーの当たり年でした。
川崎フロンターレの三笘薫、旗手怜央に始まり、札幌の田中駿汰、高嶺朋樹、金子拓郎、ガンバの山本悠樹、FC東京の安部柊斗、中村帆高などまだまだいました。
特に三笘薫は優勝クラブでリーグ戦30試合13得点と主力の活躍をしルーキーイヤーでのベストイレブンを獲得しています。
MVPは惜しくもオルンガ(当時柏レイソル)でしたがJ1の18クラブの監督・選手による投票では最多得票であり、MVPになっていてもおかしくなかったです。
三笘が凄すぎたため他の選手が霞みましたがレギュラー格になっている選手が多く1年目から十分な戦力になっています。
しかし鹿島アントラーズには昨年大卒ルーキーは加入しておらずあまり感じなかった方も多くいるかもしれません。
むしろ年齢で4つ下になる高卒ルーキーの4人が活躍し戦力になっています。
その中でも荒木遼太郎は替えの効かない選手になっており今後さらなる成長が楽しみです。
このように鹿島では高卒選手は若いうちから活躍しレギュラーになるケースが多いです。
そして残念なことに海外から目を付けられて移籍してしまいます。
サポーターからすれば嬉しい気持ちもありますがこれからという時期に引き抜かれてしまうため複雑な思いです。
逆に大卒選手はなぜかあまり育たない印象です。
ここで過去の大卒選手の1年目の成績を確認してみます。(リーグ戦成績)
1993年
奥野僚右(早稲田大学) 11試合0得点
秋田豊(愛知学院大学) 35試合0得点
1994年
相馬直樹(早稲田大学) 28試合0得点
2000年
内田潤(駒沢大学) 8試合0得点
2002年
石川竜也(筑波大学) 6試合1得点
2003年
深井正樹(駒沢大学) 22試合2得点
2004年
杉山哲(福岡大学) 0試合0得点
岩政大樹(東京学芸大学) 18試合4得点
2005年
中後雅喜(駒沢大学) 0試合0得点
田代有三(福岡大学) 5試合1得点
2007年
石神直哉(神奈川大学) 10試合0得点
船山祐二(流通経済大学) 8試合1得点
2008年
鈴木修人(早稲田大学) 0試合0得点
2009年
宮崎智彦(流通経済大学) 0試合0得点
川島大地(東海大学) 0試合0得点
2012年
山村和也(流通経済大学) 18試合1得点
2014年
赤﨑秀平(筑波大学) 15試合5得点
2018年
山口一真(阪南大学) 10試合1得点
2019年
名古新太郎(順天堂大学) 15試合0得点
年間を通してレギュラーを勝ち取ったのはJリーグ開幕年の秋田豊ただ一人だけです。
山村和也は夏場まではレギュラーでしたが右鎖骨骨折で約3ヵ月の怪我を負いチャンスを逃しました。
シーズン途中でレギュラーになったのも相馬直樹と岩政大樹の2人だけです。
その岩政も2004年入団であるため16年ほど大卒ルーキーの目立った活躍はありませんでした。
大卒生え抜きの通算成績でも上位はルーキーの時から活躍した選手が占めています。(鹿島アントラーズでのリーグ戦成績)
秋田豊 334試合20得点
岩政大樹 290試合30得点
相馬直樹 250試合10得点
奥野僚右 185試合1得点
田代有三 114試合31得点
田代は途中出場も多かったため実質レギュラーになったと言えるのは上位4人ではないでしょうか。
4人ともDFというのは何かあるのでしょうか。
このようにこれまでの歴史を振り返ると決して多いとは言い難い結果です。
それが今年久々に大活躍が見られています。
その筆頭は上田綺世です。
既に活躍しているため忘れ去られていますが本来は今年2021年に大学を卒業し加入する予定でした。
上田は法政大学2年生の2019年2月12日に卒業後の2021年より加入することが内定しました。
そして翌日の2月13日にはJリーグ特別指定選手に承認されリーグ公式戦等に出場することが可能となります。
この時点ではまだ出場はなく登録だけしていた状態でした。
それが3年生になった2019年7月26日に法政大学のサッカー部を退部し2年ほど前倒しで加入することが発表されます。
するとすぐに出場機会を得て早くも日本人エースに成長しています。
U–24日本代表でも欠かせない選手になっており今夏の東京オリンピックのメンバー入りも有力視されています。
大学自体は今年の春に無事に卒業したようです。
次は常本佳吾です。
常本は今年明治大学を卒業し加入しました。
常本も昨年9月8日にJリーグ特別指定選手に承認されており第31節横浜F・マリノス戦でデビューしています。
正式加入となった今年はザーゴ前監督時代は出番がさほどありませんでした。
それが4月に相馬監督に交代すると風向きが変わります。
リーグ戦で出場停止の1試合を除く全試合でスタメン起用されています。
特に第17節川崎フロンターレ戦で対峙した三笘を完全に封じ込めた守備は圧巻でした。
おそらく来年は鹿島の右サイドバックの象徴である背番号2に昇格し顔になる選手でしょう。
最後は林尚輝です。
林は大阪体育大学から加入したセンターバックのルーキーです。
今年の鹿島は林を含めCBが4人しか登録されていません。
そのため早くから出番が来ることが予想されました。
実際ルヴァン杯では7試合に出場し1得点と経験を積んでいます。
リーグ戦ではまだ出場機会はありませんがベンチ入りはしておりきっかけがあればレギュラー奪取をする可能性は十分です。
上田、常本の2人はレギュラーで、林も戦力になりつつあります。
このように実績が出れば今後有望な大卒選手が鹿島に入団しやすくなります。
あまりに早く活躍すると海外からオファーが来てしまいそうですが仕方ないことです。
できるだけ長く鹿島で活躍してもらいたいと思います。
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